全がん協加盟施設の生存率協同調査
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宮城県立がんセンター(2004、2005、2007年症例)


全体について
 生存率を正確に算出するためには、対象となる症例を漏れなく含むこと、精度の高い生存状況確認調査を行うことが重要です。当施設では、1992年より院内がん登録を実施しており、診療科を問わず当施設で診療を受けた患者さんをすべて登録しています。生存状況確認調査については、診断後3年以上経過した生死不明の方を対象に、市区町村への住民票照会、さらには法務局への本籍地照会を定期的に実施しています。追跡率が低い(生存状況確認調査をきちんと行わない)と計算上、生存率が高くなりますが、当施設での5年後の追跡率はほぼ100%であり、非常に精度の高い結果となっています。なお、今回は2004、2005、2007年の3年間のデータとなっています。各がんについては、それぞれのコメントをご覧下さい。

胃がん(C16)5年相対生存率
 前回の2001年‐2003年の3年間の調査(全例356例)に比べ、今回の調査では、全体の症例数が413例に増え、全体の5年相対生存率(以下生存率)のSE(%)が低下し、数値の誤差が減少しました。I期とIV期の生存率のSE(%)も同様でしたが、II期とIII期では今回も症例数が少なく、SE(%)が10%前後であったことから、生存率を比較する場合は有意性に配慮する必要があります。I期/IV期比は2.90、手術率は63.2%で、比較的進行例が多く手術以外の治療が選択された傾向が見られます。100%の追跡率を今後も維持したいと考えています。

大腸がん(C18-20)5年相対生存率
 今回の集計結果は、院内がん登録室の尽力により、追跡率100%を達成することができました。平均年例は66.3歳、男女比は1.20と、全施設と比較して大きな違いはありませんでした。一方でI期/IV期は1.07と、平均よりも低い数値となっています。当院のstage III症例の相対5年生存率は88.6%と、大腸癌治療ガイドラインの解説のQ&Aの「Q8大腸癌の治療成績」で示されているデータと比較してかなり高い数値となっている一方で、stage Iは98.8%にとどまっています。一方で、stage II症例と比較してstage III症例が多いという特徴がありました。臨床診断、外科治療、切除標本の取扱い、病理診断、追跡調査などの取組みから、より精度の高い結果が得られるように、また症例の集積に努めていくことが重要と考えます。

肺がん(C33-34)5年相対生存率
 肺がんは病期ごとに生存率が異なりI期症例であれば5年生存率を治療効果の指標としてよいですが、III期症例、IV期症例では生存期間が短く治療効果の判定に5年生存率は意味をなさずIII期症例では1年生存率もしくは2年生存率、IV期症例では1年生存率が指標となります。特に化学療法が主体になるIV期症例では、患者は全身状態(Performance Status)が生存率に大きく影響します。当施設では、地域から全身状態が不良の患者も受け入れており、この全身状態を揃えて比較する必要があります。

乳がん(C50)5年相対生存率
 追跡率は100%を維持しています。Stage IとIIの5年生存率はそれぞれ約97%および92%であり2001-2003年の成績(約98%および93%)と同様おおむね良好と思われます。Stage IIIの成績は前回報告の82.4%から89%に上昇しました。 Stage IV症例は症例が少なく来院時の転移臓器数・全身状態などにより治療成績が左右される可能性がありますが、今回のデータでも37.5%と前回(38.5%)とほぼ同様40%に近い成績でした。

子宮頸がん(C53)5年相対生存率
 宮城県立がんセンターの子宮頸がんの生存率は、全がん協加盟施設の中で中位です。IV期の生存率の低さをIII期の生存率の高さで補っていると思われます。手術症例での生存率が良好なのは、手術が可能で予後良好のI期、II期の症例が多いか、または術後の集学的治療が有効なためと考えています。

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